料理との相性評価は個人の嗜好に大きく左右されますが、相性研究の評価の結果として、民族、性別 、世代、居住地方を問わず、酒と料理の組合せの相性は、以下の3通りに大別出来ると考えられます。 

1.相性の良い組合せ
2.どちらともいえない無難な組合せ
3.相性の悪い組合せ


そこでまず、日本酒がどの様な成分であり、かつ、それがどのように味わいに影響するかを検証したいと思います。

【日本酒に含まれる成分の食品に対する口中での効果】
1
水  分
食品の味わいを引き延ばす他、塩分、旨味成分やスパイス類の香味を希釈する。
2 アルコール ほとんどの動物性、植物性の油脂質と溶け合う他、蛋白質組織を柔らかくする。
3 酢  酸 脂質、蛋白質に作用。旨味成分の分解、確認性を高める。塩分をまろやかに感じさせる緩衝作用の他、殺菌作用など。
4 糖  類 口中をなめらかにし、食品をしっとりと感じさせる他、酸味を柔らかく感じさせる。渋味、苦味をマスキングする。
5 アミノ酸類 料理の旨味を補佐し、後味を複雑に感じさせ、かつ爽快にさせる。
6 渋味、苦味 食品の臭みなどを弱める。フレーバーを高める。食品中のアク、渋味を相殺する。後口を爽やかにする。引き締まった味わいにする。
次にこれらの成分が実際の料理に対してどの様な効果をもたらすか、その一部を紹介いたします。 

【料理との相性における日本酒の特筆すべき点】
塩分の多少に関わらず、口中での酒の力が変わらない。
甘味を加えた料理に対して、酒のバランスが変わらない。
海産物から生臭みを引き出す事がほぼなく、魚卵類について異味、異臭を生じさせない。
発酵食品、漬け物など各種酒の肴と反発しない。醤油、味噌と絶妙に調和する。
フレッシュフルーツと反発を生じない。
わさび、からしなどの強い香辛料に対して負けることがない。
日本酒の持つ各種アミノ酸は多くの魚介類、肉類の旨味を増幅し得る。
無味に近い食品(じゅん菜、豆腐など)の味や舌触りの輪郭を消す事がない。
アクのある野菜のアクの裏に隠れている良い個性を引き出す。

他にもありますが、この様に日本酒には他の酒類に見られない特性をいくつも持っています。
最後に日本酒の4タイプで見た場合の相性と相性の良い料理例を挙げます。

【日本酒の4タイプと料理の相性について】
食前酒的飲用に適します。香気成分が強いので、料理を選ぶタイプ。軽快な旨味を持つもの、清涼な風味を持つ様なもの、シンプルな味付けのものの他、柑橘系の果 実を添える料理。
食中酒に最適。しっかりとした旨味を持つ料理からアクの強い食材、発酵食品などの強い風味にも負けない。生クリームやバターを使用した洋食系とも好相性を見せる。
料理との相性の幅は広く、軽快な旨味を持つものや淡い味付けの料理と同調の方向を示す。特に淡泊な素材を全面 に引き出したものと合わせると、双方の爽やかさが相乗効果で引き立つ。
食後酒的な飲用にも適します。他のタイプでは対抗できないような風味の強い料理、濃厚な味付けの料理と上手に引き合う。
油脂成分の多い料理、煮つめた料理、焦げ味等と好相性。
※ワンポイント…大根おろしは、ほのかな甘味と辛味によって酒を爽やかにし、料理と酒の味わいを一体化させる効果 がある。
【4タイプ別日本酒と相性の良い料理の一例】